2018/11/11

高齢の親世代の代理対応するハードルが高い

現役世代で30~40歳台の多くはまだまだ自分や家族のことで手一杯だろうけれど,しばらくすると親世代に対するサポート(介護)とか相続とか贈与とかが降って湧いてきますよという話.

まだ私も現役世代なわけだけれど,すでに親世代に対するサポート等が大量にやってきている.それは,親だけでなくて,子どものいないおじやおばなども含むからなわけだけど.

実務を経験しはじめるといろいろと大変なことがよく分かるのだけど,相続とか贈与以前に,他人(それがたとえ親族であったとしても)に関する行為を代理で行うことのハードルが高すぎてめげそうになる.

たとえば,親に代わって銀行から残高証明を貰う必要があるとする(これは,遺言作成をしたりする上で,正確に残高とかを把握する上であったほうが良いということで必ず必要というわけではない).今回のたとえ話の前提は以下の通り.

  • 高齢の親は意思能力には問題がない(医師および後見人を行った経験のある複数の士業からもそのような判断をされている)
  • 高齢の親はすでに介護施設に入っていて,外出するのは困難
  • 高齢の親は耳が遠く,補聴器を入れている
  • 高齢の親は自筆するのは困難である
  • 顔写真入の身分証明書は持っていない
というような状態の場合,後見制度はまだ適用されないので,本人(この場合高齢の親)がなんとかする必要がある.

さて,先の残高証明の話.上記のような前提では,ほぼ多くの銀行の場合,「ご本人が来店し,ご本人の確認ができないと発行できない」というところがほとんどだろう.この場合,このハードルを超えるのは非常に困難なので,通帳に記帳するくらいしか方法がないが,最近は無通帳型のものなども増えてきているので気をつけないと行けない.ちなみに,後見の世界にすでに入っているとか,死亡している(相続に必要)というのであれば後見人なり相続人なりが必要な書類を持参すればすぐに対応してもらえる.ただ,後見の世界に入っていないが,外出したりできないという場合は難易度が急激に高くなる.

これは別の例でいくと,高齢の親なりが相続税対策で一時払いの死亡保険に加入しようとして,そのために500万円とか1000万円とか保険会社に振り込みたいとする.この場合も「来店して...」というお決まりのフレーズ.このハードルを超えるのも非常に難しい.ちなみに,後見発動していた場合は,任意後見契約の公正証書に後見発動したら保険に入ってください的な文言が書かれていないと,後見人は対応できないと思う.民事信託であったとしても,同様の文言が書かれていないとちょっとむずかしいかなあ,できるのかなあという感じである(多分,できないだろう).

ということで,私はぜひ現役世代と親世代がきちんと動ける間に,最低限のことをしておかないと大変.いざやらないといけなくなった時には,すごい労力がかかる可能性が高い(どこかの銀行だったかで,上のような話をしていたときに『「代理人」が来たら銀行は構える』んだそうです.まあそうだよね.).

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